Japanese
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増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022
疾患
下部消化管
虚血性小腸炎
ischemic enteritis
梅野 淳嗣
1
,
鳥巣 剛弘
1
1九州大学大学院医学研究院病態機能内科学
キーワード:
慢性期
,
区域性の管腔狭小化・管状狭窄
,
急性期
,
拇指圧痕像
,
皺襞の腫大
,
開放性潰瘍
,
口側の拡張粘膜浮腫
,
多発びらん
Keyword:
慢性期
,
区域性の管腔狭小化・管状狭窄
,
急性期
,
拇指圧痕像
,
皺襞の腫大
,
開放性潰瘍
,
口側の拡張粘膜浮腫
,
多発びらん
pp.638
発行日 2022年5月24日
Published Date 2022/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403202819
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虚血性小腸炎は,小腸に虚血性病変が発生する腸間膜虚血性疾患のうち,臨床症状が軽症で可逆性の経過をたどるもののことを指し,大腸における虚血性大腸炎に相当する疾患概念である1).本症は比較的まれであるが,小腸では側副血行路は豊富であり発症数が少ないこと,軽症例において急性期の診断が難しいことに起因すると考えられる.原因の特定の有無により特発性虚血性小腸炎と続発性虚血性小腸炎に大別される.続発性虚血性小腸炎の原因としては,腸間膜動脈あるいは静脈閉塞,血流低下,血管攣縮,機械的血流障害や外傷の他,血管炎などが挙げられる.本症は急な腹痛や嘔吐で発症することが多く,臨床症状や経過,腹部造影CT検査,小腸X線造影検査や内視鏡検査を行い,総合的に診断される2)3).
腹部造影CT検査は,本症が疑われる場合にまず行うべき検査であり,急性期では区域性の壁肥厚が高頻度にみられる所見である.上腸間膜動脈など主幹動脈の閉塞所見や栄養動脈末梢側の小腸壁の造影効果低下が確認される場合もある.小腸X線造影検査では,慢性期にみられる区域性の管腔狭小化・管状狭窄が最も特徴的である(Fig.1)2)が,急性期には拇指圧痕像,皺襞の腫大,開放性潰瘍もみられる2).高度狭窄例では,口側の拡張も伴う.
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