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畳目模様は,内視鏡での白色光・中遠景観察時,食道の管腔内に1〜2mm幅の狭く細かい輪状のひだが等間隔で連続した状態を指す.和式建築における畳の表面の細かい模様と所見が似ていることから神津1)により“畳目模様”と名付けられ,英語表記では“tatamime sign”である.通称“たたみの目”とも呼ばれており,臨床的には食道表在癌の深達度診断に用いる.通常観察時でも,食道内にスコープを静止させてじっと待っていると観察されることがあるが,意図的に畳目模様を出現させるのは困難である.主には食道表在癌のヨード染色後2〜3分すると癌部がピンク色に変わるpink color signを撮影する間,スコープを静止させて吸引しながら観察していると,粘膜筋板が収縮しておおよそ長軸方向に約2cm程度の範囲で年輪状に観察される.癌の浸潤が粘膜筋板に到達していない病変では,“たたみの目”の幅が等間隔で輪状に病変内を通過し,深達度が浅いことを示している.一方,癌の浸潤が粘膜筋板に達すると,収縮に硬さが出るため,輪状のひだが等間隔にならない.粘膜下層深部に達すると腫瘍の厚みのために,ひだが病変を通過しないことから,深達度が深いことを表現する場合に“たたみの目が病変内部を通過しない”(Fig.1)と表現する.空気量を抑えながら弱伸展でタイミングよく撮影するとよい.
縦走ひだは畳目模様と同様に,白色光・中遠景観察時に見られ,食道表在癌の深達度診断に用いる所見である.食道正常部では肛門側から口側にかけて食道の長軸方向に縦のひだが直線的に入るが,病変部ではその厚みのために病変を通過しない(Fig.2)場合に,癌の浸潤が粘膜下層深部に及ぶことを示唆する所見として用いる.縦走ひだは,畳目模様の観察時よりもやや空気を抜いて,食道の管腔が潰れない程度に脱気しながら,タイミングよく撮影するとよい.脱気して管腔が潰れた後に,ほんの少し送気して撮影してもよい.
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