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大腸拡大内視鏡像の成り立ち
病理組織学的に,正常な大腸粘膜では規則的に配列する単一管状腺が粘膜筋板直上の陰窩から垂直に伸びて開口するが,過形成性ポリープやSSL(sessile serrated lesion)では腺管が鋸歯状構造を呈し,腺腫や癌では腺管の構造異型や破壊を伴う.pit pattern診断は,このような腺管構造の違いによって異なる腺管開口部の形状から大腸上皮性腫瘍の質的診断を行う手法で,病理組織学的診断のみならず深達度診断も可能な大腸腫瘍に対する拡大内視鏡診断のゴールドスタンダードである1).同じ円柱上皮腫瘍である早期胃癌と異なり,深達度診断まで可能な理由は,腺腫〜分化型腺癌が主体であることと,酸によるびらん性変化を表層に伴わないからである.表層から深部を貫壁性に観察する超音波内視鏡(endoscopic ultrasonography ; EUS)診断と異なり,拡大内視鏡観察は粘膜表層を観察しているにすぎないが,拡大内視鏡所見と病理組織学的所見を対比し,拡大内視鏡像がどのような病理組織像を反映しているのかを理解することが重要である.
NBI(narrow band imaging)観察やBLI〔blue laser(light)imaging〕観察では,照射光はヘモグロビンに強く吸収されるため,微小血管が茶褐色に強調して観察される(vessel pattern).大腸腫瘍では血管新生の亢進,血管径の増大,血管密度の増加が生じ,癌では血管径の不均一性や走行の不整,分布の乱れが生じ,浸潤癌になると血管の断片化や無血管領域がみられるようになる.血管が存在せず照射光が散乱する部分は白色に観察される(pit様構造=surface pattern).surface patternは腺管開口部と腺窩辺縁上皮を併せた部分を反映しており,pit patternに類似するが,pit patternと比較すると不整度が少し強く見えることが多い2)3).
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