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編集後記
長浜 隆司
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1新東京病院消化器内科
pp.115
発行日 2022年1月25日
Published Date 2022/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403202647
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2013年2月よりH. pylori除菌が保険適用になり,多くの除菌治療が行われてきた結果,日常の内視鏡診療ではH. pylori未感染胃かH. pylori除菌後の胃粘膜が多くを占めるようになった.そこから発見される胃癌は通常の胃癌に比較して腫瘍病巣の平坦化,不明瞭化が認められ,存在診断,質的診断が困難な症例を日常診療でしばしば経験する.
本誌では51巻6号(2016年)で「Helicobacter pylori除菌後発見胃癌の内視鏡的特徴」の特集が組まれ,除菌後胃癌は陥凹型,胃体部領域に多く,分化型,早期胃癌が多いことが特徴で,10年以上経過しても早期胃癌として発見されること,胃炎様模様を呈すること,腫瘍表面に正常腺窩上皮に極めて類似した低異型度上皮(epithelium with low-grade atypia ; ELA)と呼ばれる上皮が高頻度に出現することが指摘された.ELAはその後,伊藤らによる遺伝子解析により,本号の主題研究で述べられているように腫瘍由来の上皮であることが明らかにされた.
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