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増刊号 消化管診断・治療手技のすべて2021
胃
治療
G-POEM
Gastric Per-oral Endoscopic Myotomy for Refractory Gastroparesis
井上 晴洋
1
1昭和大学江東豊洲病院消化器センター
pp.660
発行日 2021年5月24日
Published Date 2021/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403202392
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胃における経口内視鏡的括約筋切開術(gastric per-oral endoscopic myotomy ; G-POEM)は,胃弛緩症(gastroparesis)に対する内視鏡治療である.胃の排泄遅延を伴う症例で,胃蠕動運動亢進の薬剤治療抵抗性のものが適応となる.一次性(idiopathic),二次性があり,糖尿病に関連して起こる二次性のものが多いとされる1).本邦では症例は比較的少ないのに対し,米国では多数の患者を認める.gastroparesisの診断には胃の排泄遅延の確認が必要である.バリウム透視,胃内圧検査やシンチなど種々の検査法があるが,最も簡便な診断法は,幽門輪を20mmバルーンで拡張してみて,胃膨満感などの症状が改善するかをみる方法である.一時的な改善をみたら,幽門括約筋の切開の効果が期待できると推定される.
G-POEMは,食道アカラシアに行われるPOEM(経口内視鏡的筋層切開術)を胃幽門括約筋に対して行う術式である.幽門輪から5cm手前の幽門部大彎で粘膜下局注の後2cmの粘膜切開をおく.粘膜下層に入り,固有筋層の表面に沿って粘膜下層トンネルを作製する.粘膜下トンネル内で幽門輪に到達すると,小円弧状の筋層の表面が観察される.幽門輪の2cm手前から筋層切開を開始する(Fig.1).内輪状筋切開を行う.切開された幽門括約筋は約1cm径の輪状の切離面として認識される.一方,十二指腸球部側の筋層は急に薄くなることから容易に鑑別できる.十二指腸球部側の筋層を切開する必要はない.治療後,幽門輪が弛緩し,スコープの通過が容易であることを確認する.粘膜切開部は,クリップで閉鎖する.
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