Japanese
English
今月の主題 内視鏡医も知っておくべき病理診断リファレンス—上部消化管腫瘍
主題アトラス
上部消化管:カルチノイド腫瘍・内分泌細胞癌
Neuroendocrine Tumor and Neuroendocrine Carcinoma
海崎 泰治
1
Yasuharu Kaizaki
1
1福井県立病院病理診断科
キーワード:
NET
,
neuroendocrine tumor
,
カルチノイド腫瘍
,
NEC
,
neuroendocrine carcinoma
,
内分泌細胞癌
Keyword:
NET
,
neuroendocrine tumor
,
カルチノイド腫瘍
,
NEC
,
neuroendocrine carcinoma
,
内分泌細胞癌
pp.450-454
発行日 2020年4月25日
Published Date 2020/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403202012
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
- サイト内被引用 Cited by
概念・定義1)2)
消化管の内分泌細胞腫瘍(WHO分類ではneuroendocrine neoplasm)は,消化管原発で,腫瘍性内分泌細胞が充実性,索状,ロゼット様構造,腺房状胞巣などの特徴的な構築に配列し,毛細血管に富む繊細な間質を伴い,充実性の腫瘍塊を形成して増殖する癌腫の総称である.
消化管のいずれの臓器からの発生例でも,内分泌細胞腫瘍は予後の比較的良好なカルチノイド腫瘍(neuroendocrine tumor ; NET)と予後不良な内分泌細胞癌(neuroendocrine carcinoma ; NEC)に大きく分類される.両者は悪性度が異なるだけでなく,発生起源も全く異なり,区別することは病理学的のみならず臨床的にも重要である.WHO分類ではNETとNECが同系統の腫瘍として混同されていた時期もあったが,2019年の消化器腫瘍のWHO分類では,NETとNECが分子生物学的,臨床的,疫学的,病理組織学的に,さらに予後の面でも正式に別の腫瘍であることを認めており,Table 1,2 1)のような分類が示されている.一方,本邦の癌取扱い規約では,以前よりカルチノイド腫瘍(食道では“神経内分泌腫瘍”)と内分泌細胞癌(食道では“神経内分泌細胞癌”)に分類されている.内分泌細胞癌でよくみられる内分泌成分と非内分泌成分の混在性腫瘍については,WHO分類では,両成分の比率で診断名を分けているが,癌取扱い規約では内分泌成分が少量でも存在すれば予後不良であるとして亜分類を設けていない.
Copyright © 2020, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.