Japanese
English
今月の主題 内視鏡医も知っておくべき病理診断リファレンス—上部消化管腫瘍
主題アトラス
胃:胎児消化管類似癌・肝様腺癌
Adenocarcinoma with Enteroblastic Differentiation and Hepatoid Adenocarcinoma
山澤 翔
1
,
牛久 哲男
1,2
Sho Yamazawa
1
1東京大学医学部附属病院病理部
2東京大学大学院医学系研究科人体病理学・病理診断学
キーワード:
胎児消化管類似癌
,
肝様腺癌
,
AFP
,
SALL4
,
glypican-3
Keyword:
胎児消化管類似癌
,
肝様腺癌
,
AFP
,
SALL4
,
glypican-3
pp.421-424
発行日 2020年4月25日
Published Date 2020/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403202004
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概念・定義
胎児消化管類似癌(adenocarcinoma with enteroblastic differentiation)は,胎生初期の消化管上皮に類似した淡明な円柱細胞が管状,乳頭状,あるいは充実性増殖を示す腺癌である.肝様腺癌(hepatoid adenocarcinoma)は,肝細胞癌に類似した組織像を示し,豊富な好酸性細胞質を有する細胞が索状・充実性に増殖する腺癌である.
また両者はAFP(α-fetoprotein)産生胃癌の代表的組織型として知られる.これらの組織型であっても必ずしもAFP産生性ではないことにも注意する必要がある.AFP産生を示す他の組織型としては,ごくまれなものとして卵黄囊腫瘍類似癌(yolk sac tumor like carcinoma)が知られ,一般型の管状腺癌,乳頭腺癌,あるいは充実型低分化腺癌でもAFP産生が証明される例がある.これらの癌は,幼若な細胞分化を示す胃癌の一群に含まれる類縁関係にあり,同一腫瘍内にこれら複数の組織型成分が混在することもまれではない.臨床的には,これらの組織型の胃癌は静脈侵襲が高度で肝転移を来しやすい高悪性度胃癌であることが特徴である.
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