追悼
江頭由太郎先生を偲んで
九嶋 亮治
1
1滋賀医科大学臨床検査医学講座(附属病院病理診断科)
pp.1314
発行日 2019年8月25日
Published Date 2019/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403201827
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平成31年3月20日(水),いつものように笹川記念会館で早期胃癌研究会が開催されました.その日は朝の10時から「胃と腸」誌の大腸腫瘍に関する座談会があり,いつもの仲間と診断基準について楽しく議論を戦わせました(写真).9日後の3月29日(土)の夜,江頭由太郎先生は帰らぬ人となりました.彼には心筋梗塞の既往があり,細心の注意を払って出張をされており,早期胃癌研究会も宿泊することなくほとんど日帰りにされていましたが,あまりにも早い訃報を翌朝の新幹線の車内で受け愕然としました.
江頭由太郎君は昭和35年に生まれ,私と1か月違いの同学年で,同じく下田忠和先生の薫陶を受けた消化管病理仲間として追悼文を書くことになりました.彼は大阪医科大学を卒業後,消化器内科を専攻していましたが,平田一郎先生の勧めもあり,平成3年から東京慈恵会医科大学で,下田先生のご指導のもと消化管病理の道を歩むようになりました.その頃,私は滋賀医科大学の大学院生で,胃型腺癌の研究を始めていたのですが,慈恵医大と交流があり,下田先生から「慈恵で江頭君と言うのが同じ研究をしているよ」とお聞きし,その存在を知ることになりました.江頭君はその時の研究を「胃分化型腺癌の粘液組織化学的検討」1)というタイトルの論文にまとめ,学位を取得されました.彼が慈恵医大の病理に入門した時,その独特の風貌から「大阪から来た地上げ屋」と言われたそうです.
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