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本年3月30日の朝,大阪医大の後輩と秘書さんから急な電話がかかってきた.思いも寄らない江頭由太郎先生の訃報であった(3月29日に逝去された).2月に関西の大腸疾患研究会で江頭先生と会った時は,体調が良くないと言って先生は途中で帰って行った.先生は,以前,心筋梗塞で冠動脈ステントを入れていたので心配だったが,3月初めには別の研究会で症例のプレゼンテーションをし,会終了後も立ち話で症例のディスカッションをした時は元気そうだったので安心していた矢先だった.あまりにも突然のことで茫然とした.その日,仕事を早めに切り上げて後輩の先生と一緒にお通夜に参列した.小雨がぱらついて寂しい夜だった.江頭先生の遺影は,胸から上だけだがいつものカジュアルな服装で優しそうな眼差しだった.今にも話しかけてくる様で亡くなられたことが信じられなかった.帰り際に,棺の中の江頭先生にお別れをした.病状が急だったこともあるのか,江頭先生の顔はやつれた感も無く穏やかだった.「江頭先生,お疲れ様,今まで有り難うございました」と心の中でお礼を言った.
江頭先生は小生の入局から12年後に大阪医大第2内科に入局してきた.約10年間,大阪医大第2内科で一緒に仕事をしたが,温厚で物静かな先生だった.頭が良く,医学的知識も豊富で消化器領域以外でもいろんなことをよく知っていた.また,内視鏡技術も高く,非常に器用だった.小生が,“大腸腫瘍の内視鏡診断・治療”と言う様な内容で講演をした時,大きなLST-G病変のpiecemeal EMRのビデオが,小生や他の教室員の誰よりも江頭先生のものが一番エレガントだったのでそれを借用したこともあった.また,バイト先の病院では大腸内視鏡挿入をその施設の先生に教えたりして兄貴と慕われていた.
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