私の一冊
2014年第49巻2号「日本食道学会拡大内視鏡分類」
竹内 学
1
1長岡赤十字病院消化器内科
pp.832
発行日 2019年5月25日
Published Date 2019/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403201757
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食道扁平上皮癌の内視鏡診断を行うにあたり大切なポイントとして,治療方針決定に重要な深達度診断が挙げられる.従来,食道癌深達度診断は,食道X線造影所見による壁硬化像,通常内視鏡所見による緊満感や硬さ,ヨード染色による畳目模様や縦皺の変化,さらには超音波内視鏡(EUS)所見などにより成されてきたが,井上・有馬による拡大内視鏡を用いた血管形態の変化による深達度分類が提唱され,汎用されるに至った.
また,NBI(narrow band imaging)に代表される画像強調内視鏡の開発に伴い,拡大内視鏡が飛躍的に普及した状況において,食道癌に対する拡大内視鏡診断学の簡略化を目的とし,2011年の第65回日本食道学会学術集会で「日本食道学会拡大内視鏡分類」が報告された.日本食道学会を基盤とし,小山恒男氏を委員長とした拡大内視鏡による食道表在癌深達度診断基準検討委員会にて数々の熱い議論を交わし,この委員会には小生も参加させていただき非常に思い入れがある.そのような背景の下,私の心に残る「胃と腸」誌の一冊は,49巻2号である.この日本食道学会拡大内視鏡分類が「胃と腸」誌のテーマに選ばれたのは,この号が初めてである.
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