画像診断レクチャー
消化管疾患:診断と鑑別の進め方─大腸潰瘍性病変の診断と鑑別 縦走潰瘍と輪状潰瘍の内視鏡的鑑別診断
大川 清孝
1
1大阪市立十三市民病院消化器内科
pp.1079-1086
発行日 2015年7月25日
Published Date 2015/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403200373
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はじめに
1990年に渡辺ら1)は炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease ; IBD)の肉眼的鑑別方法について,まず6群の基本肉眼型((1)縦走潰瘍型,(2)輪状潰瘍型,(3)円・卵円潰瘍型,(4)玉石状所見・炎症性ポリープ型,(5)浮腫・充血・出血・びらん型,(6)腫瘍様多発隆起型)のどれに属するかを分類するとした(Table 1).次いで基本病変の肉眼的特徴,すなわち基本病変の辺縁の性状と深さ,周囲粘膜の発赤や浮腫の有無や炎症性ポリープの有無,などで鑑別するとしている.最終的に,この2つに組織学的所見を加えることでIBDの鑑別診断は確実になると述べている.基本肉眼型を6つに分類したが,これらの肉眼型が重複する場合は,原則として上の順位の肉眼型に含めるとしている.
今回,渡辺の基本肉眼型において上位に位置する重要な肉眼型である縦走潰瘍と輪状潰瘍の内視鏡的鑑別診断について,頻度別に分類して述べる.本稿では感染性腸炎などの手術されない症例を多く含んでいることや,最近の25年間に認知された新しい疾患を含めていることが,渡辺論文との相違点である.また,内視鏡観察は手術標本の肉眼観察に比べて詳細な観察が可能であるため,渡辺論文と若干異なる点もみられる.
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