消化管組織病理入門講座・10
【全消化管】消化管に発生するリンパ腫(前編)―消化管リンパ組織の正常構造を中心に
二村 聡
1
1福岡大学医学部病理学講座
pp.1096-1102
発行日 2014年6月25日
Published Date 2014/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403114211
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はじめに
消化管には,臨床的に全くの良性のものから悪性のものまでさまざまなリンパ増殖性病変が発生する.診療の現場では,臨床医と病理医の双方に当該病変の良・悪性の判断が求められる.双方は高い精度でこれに即応せねばならないが,難渋することもまれではない.なかでも,小~中型B細胞が主たる構成細胞のリンパ腫(low-grade B-cell lymphoma註1)ならびに反応性リンパ増殖性病変の病理診断は容易ではない.事実,病変部の組織全体を俯瞰できる切除検体でさえ,診断確定はおろか,良・悪性の判定に至らない場合もあり,病理医の苦悩は尽きない.この点を踏まえ,本稿では,まず,リンパ腫の病理組織像を理解するために必要なリンパ組織の正常構造を概説し,次に,消化管に発生する代表的なリンパ腫の組織像(後編に掲載)を解説する.なお,本連載はHE(hematoxylin eosin)染色での組織像の解説に重点を置いているため,免疫組織化学染色(以下,免疫染色)関連事項の記述は最小限にとどめ,染色像は参考図譜としてまとめた.
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