増刊号 消化管悪性リンパ腫2014
グラフ
咽頭・喉頭のリンパ腫
土橋 昭
1
,
郷田 憲一
1
,
廣岡 信一
2
,
池上 雅博
2
,
清野 洋一
3
,
加藤 孝邦
3
,
田尻 久雄
1,4
1東京慈恵会医科大学内視鏡科
2東京慈恵会医科大学病理学講座
3東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉科
4東京慈恵会医科大学消化器・肝臓内科
pp.816-817
発行日 2014年5月24日
Published Date 2014/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403114163
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概念・病態
頭頸部領域原発の節外性リンパ腫は,咽頭の扁桃組織から構成されるWaldeyer咽頭輪に好発するとされている1)2).近年,NBI(narrow band imaging)をはじめとする画像強調を併用した拡大内視鏡検査が中下咽頭癌の早期発見に有用であることが報告されて以来3),消化器内視鏡医が頭頸部領域の詳細な観察を行うようになり,今後も頭頸部領域の悪性リンパ腫に遭遇する機会は増加すると予想される.また,Waldeyer咽頭輪原発リンパ腫の約20%に胃腸管悪性リンパ腫が合併するとの報告もあることから4)5),消化器内視鏡医は頭頸部領域の悪性リンパ腫を発見した場合,胃腸管悪性リンパ腫の合併に留意し,精査することも重要である.
Waldeyer咽頭輪をはじめ,咽喉頭原発の悪性リンパ腫は,他の頭頸部領域のリンパ腫に比して,発見時に臨床病期が進行していることが多いと報告されている2).これは咽頭原発のリンパ腫の主訴が,咽頭痛または咽頭不快感であり,初期段階においては感冒や扁桃炎などと誤診されること1),腫瘍部の伸展性が保たれるため,早期には嗄声や嚥下機能障害を来しにくいことなどが,診断の遅れる要因と推察される.
Fig. 1, 2に提示した喉頭原発悪性リンパ腫は,比較的大きな病変であったが,嚥下障害はなく,食道へのスコープ挿入も容易であった.よって,咽喉頭においても胃腸管リンパ腫と同様に,腫瘍細胞は充実性に増殖し,線維化を伴わないため,壁伸展性が保たれるものと考えられる.
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