Japanese
English
今月の主題 大腸ESDの適応と実際
序説
大腸ESDの適応と実際
Introduction
田中 信治
1
Shinji Tanaka
1
1広島大学病院内視鏡診療科
キーワード:
colorectal tumor
,
ESD
,
EMR
,
indication
,
endoscopic treatment
Keyword:
colorectal tumor
,
ESD
,
EMR
,
indication
,
endoscopic treatment
pp.129-132
発行日 2013年2月25日
Published Date 2013/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403113716
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大腸で内視鏡治療の対象となる上皮性腫瘍病変は,早期癌以外にも良性病変である腺腫性病変が多く存在しており,この点で内視鏡治療の適応病変が早期癌である食道や胃と大きく異なっている.大腸腺腫にも微小病変など治療の必要のないものもあるが,基本的には前癌病変として内視鏡治療の適応である.一方,大腸では拡大内視鏡観察によるpit pattern診断学1)2)などの微細診断学が早くから確立し臨床導入されたことにより,腺腫と癌の判別やSM浸潤部位や浸潤程度の診断学が発展してきた.このような背景のもと,正確な術前診断によって適切な症例を選択すれば,大きな病変も分割による内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection ; EMR)で根治可能であることが示され,現在も世界中で実践されている3)~6).
しかし,その一方で,スネアEMRでは対応できないものの,“内視鏡的な一括切除が必要な病変"の条件も明らかにされてきている.こうした“スネアEMRでは対応できないが内視鏡的一括切除が必要な病変"に対して,外科的手術ではなく低侵襲・低コストな内視鏡治療で摘除したいという内視鏡医の強い願望のもと,大腸でも内視鏡的粘膜下層剝離術(endoscopic submucosal dissection ; ESD)に関する臨床研究が活発に行われ,新しいデバイス・周辺機器の開発(Fig. 1)や病態学に基づいたESDの適応基準などが検討されてきた7)~10).
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