私の一冊
「cap polyposisと粘膜脱症候群」 37巻5号(2002年)
赤松 泰次
1
1独立行政法人長野県立病院機構長野県立須坂病院内視鏡センター
pp.1126
発行日 2012年6月25日
Published Date 2012/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403113525
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この特集号は筆者が「胃と腸」編集委員になって初めて,八尾恒良先生,渡辺英伸先生とともに企画案を作成した思い出深い1冊である.両巨頭といっしょに企画を立てるということで,緊張した面持ちで編集小委員会に臨んだことを今でも鮮明に覚えている.
cap polyposisは英国のSt. Marks Hospitalの病理医であったWilliamsらが,1985年に発表した20行程度のAbstractがオリジナルとされている.その後しばらくこのAbstractはほとんど省みられることがなかったが,1993年に同じ施設のCampbellら1)が2例の臨床例をGutに報告し,続いて1994年にフランスのGéhénotら2)が同じくGutに1例報告したことによって,わが国でも注目されるようになった疾患である.筆者は1986年よりこれまでに,7例のcap polyposisを経験しているが,従来報告されてきた炎症性疾患には当てはまらず,新しい疾患単位の可能性が高いとして,「分類不能型大腸炎」という名前で繰り返し報告してきた.Williamsらの報告については当時知る由もなかったが,早期胃癌研究会で本疾患に相当する症例が提示され,筆者が「これまでわれわれが分類不能型大腸炎とし報告してきた画像所見に一致する症例である」とコメントしたところ,出題者がCampbellらの論文で「cap polyposis」という名称がつけられていることを紹介した.おそらくこの機会が,わが国においてcap polyposisという疾患名が知られるようになったきっかけと思われる.
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