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側方発育型大腸腫瘍(laterally spreading tumor;LST)とは,肉眼的に側方への腫瘍進展を特徴とする10mm以上の病変である.発育進展さらには生物学的悪性度を加味した発育形態分類においては,LSTは平坦型に分類される.「大腸癌取扱い規約」で定義された肉眼形態分類ではないが,肉眼形態を容易に想起でき,さらには質的・量的診断また内視鏡治療や外科的治療の判断においても非常に有用であり広く定着している.
元来,大腸上皮性腫瘍には上方向発育を示す隆起型腫瘍や下方向(垂直方向)発育が特徴な陥凹型腫瘍とは違い,側方への腫瘍進展を主とする腫瘍群が指摘されており,様々な名称で表現されていたが,1992年「胃と腸」誌に特集され1)結節集簇様病変として呼称されるようになった.しかし,側方発育傾向を示す腫瘍群の中には,顆粒や結節を有さない病変が存在することが明らかになり,筆者ら2)はそのような病変を含めて大きさ10mm以上のものをLSTと定義した.さらに,LSTを顆粒型(granular type;LST-G,Fig. 1)と非顆粒型(non-granular type;LST-NG,Fig. 2)に大別し,前者は顆粒均一型〔homogeneous type;LST-G(Homo)〕と結節混在型〔nodular mixed type;LST-G(Mix)〕に,後者は平坦隆起型〔flat-elevated type;LST-NG(F)〕と偽陥凹型〔pseudo-depressed type;LST-NG(PD)〕に亜分類した3)4).それぞれの病変群は異なった臨床病理学的特徴を有し,特に治療法の選択上重要である.
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