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H. pylori(Helicobacter pylori)の持続感染は,胃粘膜の萎縮を惹起し腸上皮化生を生じさせる.胃の腸上皮化生は,分化型胃癌発生のリスクと密接に関連することが示されている.通常内視鏡で胃の腸上皮化生は軽度の隆起,もしくは平坦な褪色調の領域,または陥凹した同色または軽度発赤調の領域として認められるが,正確な診断は困難とされていた.胃の腸上皮化生をNBI(narrow band imaging)で拡大観察すると,上皮の辺縁部(表面)に青白色調の光の線を認める(Fig. 1).これが,LBC(light blue crest)であり,“上皮の表層を縁取る青白い細い線”と定義されている1).同部を生検すると高率に腸上皮化生を認め,H. pylori陽性胃炎例において腸上皮化生を診断するうえで有用な内視鏡所見である.
NBIでは400~430nmと515~555nmの狭帯域光を照射し,前者の反射画像を緑と青色に,後者を赤の疑似カラーに割り当てている.LBCは主に400~430nmの光が強く反射することによって生じているため,緑と青の疑似カラーの合わさった明るいシアン色(light blue)に見える.腸上皮化生表面の刷子縁の繊毛様構造による光の反射特性の違いがこのような現象を生じさせているのではないかと推測されている.LBCを認める腸上皮化生粘膜は多くが畝状~乳頭状の表面構造で,これがcrest(隆起状のものの頂部)の名前の由来にもなっている.しかし,陥凹型の腸上皮化生などで星芒状~線状の腺窩開口部にLBCを認めることもあり(Fig. 2),0-IIc型早期胃癌との鑑別のうえで重要である.
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