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超音波内視鏡検査(endoscopic ultrasonography;EUS)は解像度が高く,他の画像診断では得られない消化管癌の深達度診断,粘膜下腫瘍の診断,消化管周囲のリンパ節腫大や吻合部周囲の病変の描出に優れた検査法である.しかし,上記疾患の良悪性の鑑別診断や質的診断にはEUS単独では困難なことが多い.超音波内視鏡下穿刺吸引法(endoscopic ultrasound-guided fine needle aspiration;EUS-FNA)は消化管壁内・壁外の腫瘤性病変(膵腫瘍・リンパ節・粘膜下腫瘍など)を対象にしてEUSガイド下に専用の穿刺針で病変から組織を採取する方法である1)2).1992年にVilmannら3)により膵癌に対して初めて臨床応用されて以降,本邦においても2010年に保険収載されたこともあり,急速に普及してきている.
EUS-FNAの主な適応は,EUSで描出される腫瘤性病変の良悪性の鑑別診断(Fig. 1a),化学・放射線療法前のhistological evidenceの取得,癌の進展度診断のための腫大した縦隔・腹腔リンパ節や少量の胸・腹水の採取などによる転移の有無の診断,などである.EUS-FNAの禁忌は,EUSで病変が明瞭に抽出できない場合,出血傾向がある場合,穿刺経路に腫瘍や血管が介在している場合,播種が危惧される場合,などである.消化管病変への適応としては,消化管粘膜下腫瘍の質的診断,特にGIST(gastrointestinal stromal tumor)か否かの診断に有用であるが,そのほかにリンパ節転移の有無,通常の内視鏡下生検では採取困難な粘膜下の要素の強い上皮性腫瘍,術後の吻合部やその周囲の再発の診断などに有用である.
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