連載 Pharmacognomyへの招待
今月の薬は(Z)-11-(3-Dimethylaminopropylidene)-6,11-dihydrodibenz[b,e]oxepin-2-acetic acid monohydrochloride
中木 敏夫
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1帝京大学医学部 薬理学講座
pp.529
発行日 2011年5月1日
Published Date 2011/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101250
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今月は(Z)-11-(3-Dimethylaminopropylidene)-6,11-dihydrodibenz[b,e]oxepin-2-acetic acid monohydrochlorideを取り上げる。(Z)は立体構造を示す記号であるから,本欄では考慮しない。
特徴的な構造は6,11-dihydrodibenz[b,e]oxepinの部分である。[b,e]は3個の環状構造がそれぞれ1辺を共有していることを示している。具体的にはoxepinのb辺とe辺がそれぞれベンゼン環と辺を共有していることを示す。oxepinは酸素原子を1個含む7員環であって,二重結合を最大数含む構造である(図1a)。この7員環のb辺とe辺がそれぞれベンゼン環と辺を共有しているからdibenz[b,e]oxepinは図1bのようになる。
この3員環構造に番号をつける場合は,右上から始めて右回りにつけてゆき,酸素の番号が小さくなるように番号を振らねばならないため,図1b, c, eではなく図1dのようになる。この基本骨格の11位に3-Dimethylaminopropylidene(図1f)が結合しており,6位と11位の炭素は飽和している。このため二重結合の位置が変わってくる。さらに,2位に酢酸が結合している。したがって,全体の構造式は図1gのようになる。
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