- 有料閲覧
- 文献概要
「早期胃癌肉眼分類の再検討」を読ませて頂いて複合型の分類の難しさを今更のように感じました.実際,肉眼標本をみて,さて何型というべきか,意見の相違にはしばしば遭遇します.わたくしは,分類は何型といわれたとき,座談会でもいわれているように,その型のイメージが頭の中で画けるようでなければ困ると思います.この観点からすれば,座談会で取り上げられた問題点でほとんど討議されています.ⅠとⅡa:粘膜面からの背の高さが5mm以内といわれると理論的には理解できますが,実際に計測する場合,ルーペ像であれば可能ですが,切除標本での計測がうまくゆくかどうか,また,もし直径4~5mmで高さが5mm位で,有茎あるいは亜有茎のpolypoidもⅡaということになれば,イメージがすこしこわれるようにも思われます.
Ⅱa+Ⅱc,Ⅱc+Ⅱaのところでは,ドーナツ型でⅡcの広い場合,Ⅱcが小さく周囲の盛り上りの強いⅡa+Ⅱc②と組織発生的見地から同一分類に入れるのについて疑問に思います.また,Ⅱa+Ⅱc(Ul)で集中ひだの先端がコン棒状に隆起しているもの,⑨に対しての分類にも疑問を持つものです.Ⅲ,Ⅲ+Ⅱc,Ⅱc+Ⅲについては問題は少ないように思いますが,これらが経過上同一のものの経時的変化であるという考え方は良いと思いますが,臨床診断の立場からみますと,臨床データの上で深い明らかな潰瘍があっても,手術までの時間的経過で,潰瘍が瘢痕化して切除されたときに,臨床データとの差が大きくなることに不便さを感じます.なお,これらの複合型は,いずれもシェーマにすると良く理解できるのですが,実際の標本の読影に際しては,解釈の仕方が沢山あり,どれに入れるべきか判断に迷うことが多いことも事実です.
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.