私の一冊
「胃の平滑筋腫と平滑筋肉腫 ─新しい視点を求めて」第30巻第9号(1995年)
松田 圭二
1
1帝京大学医学部外科
pp.431
発行日 2012年3月25日
Published Date 2012/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403113137
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GIST(gastrointestinal stromal tumor)は,1998年Hirotaによってc-kit変異の関与が報告され,その5年後にはイマチニブが本邦で承認され多くのGIST患者の命を救っている.消化管の病気の中で,近年これほど急速に病態の解明が進み,治療法が発展したものは他に例がない.
c-kit変異の発見によってGIST研究に明るい日差しが差し込んできたとすれば,暗闇から抜け出す直前に世に出た「胃と腸」が,この第30巻第9号「胃の平滑筋腫と平滑筋肉腫─新しい視点を求めて」(1995年)であった.ここには,胃の平滑筋腫瘍がどんなものであるか,どういうものを悪性にするか,などについて当時使える医療機器や免疫染色の結果を最大限に駆使して述べられている.しかし今や“平滑筋腫瘍”という言葉があまり使われなくなり,当時はまだ使われていなかった“GIST”が頻用されるようになってしまった.わずか16年前の雑誌であるのに,隔世の感がある.
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