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書評「よき臨床医をめざして―全人的アプローチ」
The Effective Clinician: His Methods and Approach to Diagnosis and Care
阿部 正和
1
1東京慈恵会医科大学
pp.1413
発行日 1987年12月25日
Published Date 1987/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112860
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これは,まことに素晴らしい本である.私が若い医師および医学生諸君に,日頃どうしても言っておきたいことが余すところなく述べられている.いや,私が思いつかなかったこと,しかし非常に大切なことまでが盛り込まれている.ありがたいことである.著者のタマルティ教授の学識のみならず人柄に触れた思いがする.教授はウィリアム・オスラー先生の再現ではないかとも思われたのである.
わが国の若い医師の方々は,検査データの読みには優れた能力を発揮するが,こと診察技術となると米国の医師より,かなり劣っているとよく言われる.しかも面接技術が下手だという批判もある.診察の相手は,病いに悩む人格をもつ人間であって,病気ではない.そうなると,わが国の医師は人間への接し方が未熟だということになろうか.それはいったい何故だろうか.私は,医科大学における医学教育のあり方に反省すべき点があるのではないかと思う.もしそうだとすれば,医学教育に従事する指導者の姿勢,診療の態度に改めるべき点がありはしないかということになる.ここに,本書を,まず医学教育の指導者の方々に,まずはともあれ読んでいただきたい,とお願いする理由がある.もちろん,若い医師および医学生諸君にとっても必読の書である.
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