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編集後記
信田 重光
pp.825
発行日 1977年6月25日
Published Date 1977/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112676
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十二指腸ファイバースコープによる乳頭内挿管の手技が確立され,また経皮的経肝胆管造影法が普及するにつれて,従来,盲点とされていた胆道,膵悪性腫瘍に対する関心が,ここ数年一挙に昂まってきた.本号では胆道系悪性腫瘍の特集号として,この領域の癌の診断と治療の現況について,診断面を武内教授ら,外科治療面を土屋教授らの執筆により掲載することができた.おふたかたともこの領域に永年取り組んでこられたので,診断面では,これまでそれぞれの分野の学会で討論されていたPTC,ERCP,HDG,細胞診,血管造影など各種検査法の問題点がこの一篇に集約されているし,また外科治療面でも手術成績の現況,問題点,その成績向上のための早期診断に対する対策などが,いずれも豊富な経験に基づいて論じられている.この二篇の論文により,胆道系悪性腫瘍の診断,治療の現況を充分に把握できると思う.また座談会も,それぞれの検査のベテランにより手技,診断上の細かい点が,村上教授,高木博士の司会でまとめられており,特にPTC,ERCPの選択の問題,これらの手技による合併症の防止策,早期発見のための臨床症伏や生化学的検査値の読み方,primary sclerosing cholangitisの問題,更に放射線療法の試みまで.実地臨床上の種々の問題点が討論されており,きわめて有益な座談会であると思う.
その他,研究欄,症例報告など,いずれも新しい分野を開拓する研究,珍らしい症例の発表であり,全篇を通じて,読者の皆さんに喜んでいただけるこの6月号であると思う.
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