--------------------
編集後記
信田 重光
pp.959
発行日 1972年7月25日
Published Date 1972/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403109212
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
昔に比べれば,診断技術も著しく進歩し,また患者も医師を比較的訪れやすい状態となっている現在,消化管癌における若年者癌の臨床像などが変ってきているかどうか,その実態を検討しようということが,本号での主題としてとり上げられた理由である.幸い九大古沢博士ら,癌研山田博士らから胃癌および大腸直腸癌における若年者癌の実態を詳細に分析した論文をいただくことができた.若年者で胃潰瘍症状で発症する胃癌症例が,医師により若年者であるということで見過されることが多いこと,女子患者の嘔吐が妊娠悪阻と誤認されやすいこと,しかし切癒切除可能例ではその予後がかなり良好であることなど,また若年者の直腸癌は進行度が高いことなど,日常の臨床上非常に教えられることの多い論文であったと思う.また読者の先生方にこの雑誌の作製に積極的に参画していただくことを目的として,若年者胃癌症例を公募したが,多数の先生方から症例を提供していただき,その中から本誌に掲載された10症例をえらばせていただいた.いずれの症例も極めて貴重な,写真も立派な症例ばかりであり,その選択にはかなり神経をつかったが,20数例を紙面の都合上,やむをえずお返ししなければならなかった.御協力をいただいた先生方に心から御礼と,また特に症例をお返しさせていただいた先生方にお詫びを申し上げたい.
Copyright © 1972, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.