胃と腸ノート
十二指腸ファイバースコープの食道内反転嵌入
大井 至
1
,
土岐 文武
1
,
竹本 忠良
1
1東京女子医科大学消化器病センター
pp.676
発行日 1975年5月25日
Published Date 1975/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112360
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内視鏡の抜去時に,スコープが反転していてその先端部がU字型に噴門に,あるいは食道にまで嵌入してしまって,引っかかり抜けなくなるという偶発事故が,一昔前内視鏡では稀にはあった.このことは,すでに「胃内視鏡の抜去困難例」として,ある本にも自らの経験例もふくめて書いたことがある.もちろんこのような偶発事故は,幸いごく稀にしかおこらない.最近の海外の報告では,Endoscopy(Thieme)にWiendlがGTF-Aで反転したときに,先端が食道に嵌入してしまって手術により抜去した例が目についただけである.
以前のアングルのないファイバースコープでかなり無理して反転させたり,硬い胃カメラなどでは,このような偶発事故もおこりうるであろうが,今日の優秀なファイバースコープでこのようなことがそうおこるとはおもわれない.ところが,現実にその事態がおこったのである.あらためて注意をうながす意味で述べておこう.
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