Japanese
English
今月の主題 陥凹型早期胃癌の深達度診断
主題
陥凹性早期胃癌と消化性病変の病理
Pathologic Study of the Early Gastric Carcinoma with Respect to Its Correlation with Peptic Ulcer Disease
望月 孝規
Takanori Mochizuki
pp.135-141
発行日 1987年2月25日
Published Date 1987/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112201
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胃の消化性潰瘍と胃癌の関係については,相対する2つの考え方が常に存在する.具体的に述べると,今ここに,胃癌の初期像である早期胃癌があり,その中に潰瘍があるか,あるいはそれが線維性硬化のある胃壁の中にあるとしよう.約束に従って,Ⅲ,Ⅲ+Ⅱc,Ⅱc+Ul,Ⅱc+Ulsなどと肉眼的に分類され,次に組織学的に癌の性状,拡がり,深達度,更には胃壁の線維性硬化の拡がりと程度などについて調べられ,記載され,診断が下されよう.しかし,ここで終わってしまわずに,更に,このような病変がどのようにして成立したかと考える者には,既に存在していた消化性潰瘍を基盤としてこの癌が発生したのか,あるいは癌の発生・進展の問に消化性病変が生じたのかという2つの考えが生じるに違いない.また少し考え込む者は,消化性潰瘍と癌腫とは,物質欠存とその修復および増殖・進展というおのおの独立した異なった病変であり,いまの像はこれらが相互に作用して出来上がった形態に違いなく,こういう経過の1つの断面を観察するときには,どんな手掛かりによってこの2つの病変を解析してよいか,難しいとか,わからないと思うに違いない.この相互間係について,われわれの先人は,現在に比べると不完全な資料を解析し,おのおのの立場を明らかにしてきた.まず,その歴史を簡単に述べ,次いで早期胃癌症例の経過観察と形態学的検索によって,この相互関係についての考え方が変化し発展してきた次第を述べる.
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