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書評「救急疾患の輸液療法」
Fluid-Electrolyte Therapy in Acute Illness
岩井 誠三
1
1神戸大学麻酔学
pp.238
発行日 1975年2月25日
Published Date 1975/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112183
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生体諸機能を円滑に維持していくために体液が極めて重要な役割を演じていることは周知のことであり,内科系・外科系をとわず治療上,輸液療法の占める位置はきわめて大きい.このように重要な意義を有する輸液療法ではあるが,日常取扱う症例の大部分が水分,電解質調節機能に著しい異常を有していないため,輸液の量および質に多少の不合理はあっても患者の有する調節機構に助けられて著しい障害をきたさないことが多く,以前はあまり注意がはらわれなかった.
しかしここ十数年の間に水分・電解質代謝に関する研究が著しく進歩し,腎・内分泌機能との関係,それぞれのイオンの有する生理学的意義,加齢変化などがしだいに解明され,一方では遭遇する疾患に重度外傷,ショック,内分泌異常等がしだいに増加し,これらの病態生理が解明されるにつれて,輸液療法の量と質の問題が治療効果に重大な意義を有することが理解されるようになり,数多くの専門的な書籍が市販されてこの方面の啓蒙の役目をはたしてきている.しかし,これらの大部分は理論的な解説が主であり,書物の記載を充分に理解することができても目前の患者にその知識を直ちに応用していくためには,かなりの臨床経験が必要であり,実際に臨床にたずさわる者の日々の手引きとしては難解なものも少なくない.この問題を解消して実地医家にとってただちに役に立つことを目的として出版されたのが原著の大きなねらいである.
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