Japanese
English
今月の主題 食道・腸の生検
主題
大腸の生検診断
Biopsical Diagnosis of Lesions in the Large Intestine
酒井 義浩
1
Y. Sakai
1
1東京医科大学内科
pp.179-186
発行日 1974年2月25日
Published Date 1974/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111747
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大腸fiberscopeが登場してほとんどの症例で回盲部まで挿入しうるようになり,補助診断としての精密度を確固たるものとした.すなわち直視下に観察するということよりもむしろ生検を同時に併用しうることにその有用性が存在した.採取される組織は通常8mm3程度のものであるが,粘膜下層の一部までを含有しうるので,一部の直腸・大腸疾患を除いて,その診断的意義は著しく高い.胃におけるそれとは異って内視鏡像のみから明確な診断を下せない現状では生検を欠く大腸fiberscope検査は多くの場合X線検査に似て精密検査となりえないのである.したがって生検は病態に対する必須の検索であり,大腸fiberscope検査の一部として常に存在するものである.
著者は昭和44年5月以来大腸fiberscope検査1,100回を行なってきたが,その際の生検についていくつかの問題点をあげ,通覧的に各種の直腸・大腸疾患における生検の意義について述べる.更に組織診断という観点から従来の鉗子生検だけでなく,さまざまな新たな方法を用いて病巣または粘膜の一部を採取する広義の生検が登場してきているが,その是非は別としてそれらも簡略に紹介する.個々の病理学的所見に関しては多くの成書に譲ることとし本稿では触れない.
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