増刊号 図説「胃と腸」所見用語集2017
画像所見〔咽喉頭・食道〕
食道メラノーシスと食道メラノーマ(melanosis of the esophagus, melanoma of the esophagus)
三浦 昭順
1
,
堀口 慎一郎
2
1がん・感染症センター都立駒込病院食道外科
2がん・感染症センター都立駒込病院病理科
キーワード:
食道メラノーシス
,
食道メラノーマ
,
食道癌
Keyword:
食道メラノーシス
,
食道メラノーマ
,
食道癌
pp.548
発行日 2017年5月24日
Published Date 2017/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403200899
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定義
重層扁平上皮に覆われた食道粘膜は,通常は灰白色調の光沢のある粘膜として観察される.これは,食道の基底層にメラノサイトがごく少数(2〜8%)しか存在せず,メラニン顆粒を認めないからである.基底層のメラニン顆粒が著しく増加することにより,食道粘膜が黒色調を呈するものをメラノーシスと言う(Fig. 1,2).内視鏡検査による一般人の頻度は約0.1%程度とされているが,扁平上皮癌周囲では30%程度に認められる1).
基底層のメラノサイトから発生する腫瘍が悪性黒色腫である(Fig. 3,4).食道原発悪性黒色腫の頻度は少なく,本邦の食道悪性腫瘍の0.1〜0.9%とされる.中下部食道に80%と多く,ほとんどが隆起性腫瘍を形成し,有茎性あるいは亜有茎性のポリープ状隆起が約1/3を占める.腫瘍細胞の産生するメラニン色素の量により腫瘍の色調は異なり,黒色から褐色調,灰色調などさまざまである(melanotic type)が,10%程度に無色素性の腫瘍(amelanotic type)もみられる.
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