一頁講座
早期胃癌の肉眼診断 私のメモから―(その5)巨大すう襞について
佐野 量造
1
1国立がんセンター病理部
pp.184
発行日 1971年2月25日
Published Date 1971/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111460
- 有料閲覧
- 文献概要
1.メネトリエ病(polyadenoma en nappe)―体部粘膜の単純な肥大―
メネトリエ病は原著によるとpolyadenoma en nappeとpolyadenoma polypeuxに分けております.その後,この疾患の定義について多くの議論がありました.しかし,現在,欧米の成書では,polyadenoma en nappe,つまり体部腺の単純な肥大(giant hypertrophic gastritis,giant hypertrophy of the gastric mucosa)のみに限定してメネトリエ病とよんでいるようです.その特徴は幽門腺が萎縮し,体部腺が肥大して巨大すう襞様となり,その表面は胸回転を思わせるような隆起をきたします.組織学的には体部腺の単純な肥大で,Schindlerによると腺性肥大性胃炎(glandular hypertrophic gastritis)に分類されます.
果して,これをgastritisとよんで良いかは問題のあるところです.メネトリエ病の大部分の症例は,びまん性に広範な体部腺の肥大をきたしておりますが,甚だまれに局部の体部粘膜が限局性に肥大して隆起し,広基性の隆起性胃癌と間違がわれた例があります.
Copyright © 1971, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.