カラーグラフ 臨床病理シリーズ・16
胃疾患の肉眼診断・8
Ⅳ.巨大すう襞症の鑑別
佐野 量造
1
1国立がんセンター病理部
pp.740-741
発行日 1973年6月20日
Published Date 1973/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205814
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1.肥大性胃炎hypertrophic gastritis
本症の定義については多くの議論があるが,筆者はこれを体部腺の単純肥大(simple hypertrophy)に限定して使用しており,それはSchindlerの腺性肥大性胃炎(glandular hypertrophic gastritis)と同義語である.臨床的にメネトリエ病または巨大すう襞症とよばれるものには病理学的にかなり異なつた病変が含まれている.肥大性胃炎には,症例42のようにびまん性に体部粘膜が肥厚しそのすう襞は脳回転のような外見を呈するものと,症例43のように限局性(localized hypertrophic gastritis)に生ずる場合がある.症例44はびまん性肥大性胃炎の大彎部粘膜がさらに限局性に腫瘤状に隆起した例である.症例45は胃体上部の著明な巨大すう襞性変化をきたしているが,さらにこの例では胃角部前壁にレリーフ集中を伴うⅡcの所見がみられる.この症例はたまたま良性の肥大性胃炎にⅡc型の早期癌が合併したもので,このような症例ははなはだまれであるがボルマンⅣ型癌との鑑別が必要である.
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