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書評「新臨床X線診断学 第2版」
林 邦昭
1
1長崎大学教授・放射線医学
pp.1117
発行日 1990年9月25日
Published Date 1990/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111412
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本書の編者である大澤忠氏は若くして米国へ留学され,オールラウンドのX線診断学を学ばれた方であり,オーソドックスな考え方をされる放射線科医の代表である.最近の各種の新しい画像診断法の開発・発展にもかかわらず,X線診断学が最も基本にあるべきだとの考え方から,この本のタイトルは新臨床X線診断学とされている.編者以外の5人の執筆者もすべて海外留学の経験者のようである.
わが国の放射線診断学のレベルは最近とみに向上し,幾つかの分野では世界をリードするほどである.しかし放射線診断学の全般的なレベルは,まだ米国にはるかに及ばないと思っている.それは,研究を中心としたこれまでのわが国の医学部放射線医学教室の在り方と無関係ではないようである.研究をおろそかにしてはならないことは言うまでもないが,臨床に直結した放射線診断学の全般的なレベルアップが必要である.換言すれば,われわれは,まだまだgeneral radiologyを重要視するべきであろうと思うのである.
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