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書評「内科外来診療マニュアル」
高木 誠
1
1東京都済生会中央病院・内科
pp.1040
発行日 1995年7月25日
Published Date 1995/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403105478
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本書は,臨床研修病院としての伝統と実績を持つ聖路加国際病院の内科ティーチングスタッフによって書かれた,研修医・一般内科医向けの外来診療マニュアルである.
著者らも冒頭に述べているように,現在のわが国における卒後初期臨床研修では,研修の場が病棟や救急外来に偏りがちで,一般外来における診療についての指導がほとんどなされていないという問題がある.確かに病棟では,指導する側にとっても指導される側にとっても診療の問に教育や研修に十分な時間がとれること,入院患者の診療では種々の手技を学ぶ機会が多いことなど,初期研修を行ううえで多くの利点がある.また,医師となったからには,まず救急診療の技術を習得しなければならないことから,一般外来よりも救急外来における研修が優先されるべきであるという事情がある.このため多くの医師は初期研修を終わり,実際に外来診療を担当することになると,次々といろいろな訴えを持って受診する患者を前に戸惑い,山積みされたカルテを見てため息を漏らすことになる.そして5年から10年もすると,誰に教えられたのでもない,自分なりの外来診療のテクニックを自然に身につける.したがって,外来診療のやり方は医師によって千差万別であり,医師としての優劣や診療の能力の差が現れる理由でもある.
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