今月の主題 前癌病変としての胃潰瘍とポリープの意義
胃潰瘍の部
胃潰瘍として経過観察中に見られた胃癌症例について
芦沢 真六
1
1東京医科大学内科
pp.697-698
発行日 1968年6月1日
Published Date 1968/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110807
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われわれが東京医大内科に於て,内視鏡検査をも行ない,胃潰瘍あるいは潰瘍瘢痕と診断したものは,昭和35年10月より昭和42年3月迄に1331名になる.われわれは特に胃潰瘍の長期経過観察を目的として,第1表に示すような基準に従って,瘢痕となったあと1年以上理想的に経過観察を行ない得た症例は第2表の73例である.特に瘢痕化後の経過観察にも重点をおいた理由は良性瘢痕と悪性瘢痕との内視鏡像の差などを研究することと,一方もし瘢痕が良性像を示す場合には,もとの瘢痕がより良性であったという有力な証拠になると考えたからである.なおopenの潰瘍を発見してそれが瘢痕となるまでの観察期間は症例によって一定せず,一週間ないし3カ月である.以上の基準に従って潰瘍の発見から瘢痕の時期を確認して約3年以上経過を観察し得たものは,最終的に癌と診断された後述の2例を加えて38例となる.今ふり返り考察すれば,むしろ誤診とも云えるこの2例を供覧する.
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