Japanese
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今月の主題 胃・十二指腸 併存潰瘍
主題症例
⑧胃と十二指腸に併存潰瘍の経過観察が明らかな症例
Reports of the follow-up cases of coexistent lesions of gastric and duodenal ulcer
赤坂 裕三
1
,
川井 啓市
1
,
光吉 靖夫
2
,
福本 圭志
2
,
宮岡 孝幸
2
,
中島 正継
2
,
竹林 政史
2
Y. Akasaka
1
1京都府立医科大学公衆衛生
2琵琶湖胃腸病院
pp.1381-1385
発行日 1978年10月25日
Published Date 1978/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403107533
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併存潰瘍の症例とその臨床像に関する考察
1.症例呈示
〔症例1〕47歳,男子.消化性潰瘍の既往歴はない.現病歴は右季肋部痛にて来院し,X線透視にて十二指腸潰瘍と診断された.内視鏡検査による経過観察はFig. 1の通りである.1年6カ月間の全経過において,十二指腸潰瘍が先行し,再発再燃→多発→線状化を示したが,遅れて発生した胃潰瘍も順次胃の高位に再発→多発化を示した(Fig. 2,3).本例は先行する十二指腸潰瘍サイクルに引き続いて短い時間差をもって胃潰瘍サイクルが回り出し,難治性の胃・十二指腸潰瘍併存例として〔症例2〕にみられるようなlife cycleに入っていくものと推定されるが,現在引き続き観察中である.
〔症例2〕43歳,男子.既往歴に特記すべきことなし.現病歴は心窩部痛を主訴として来院.X線透視にて胃・十二指腸潰瘍と診断され,内視鏡検査が行われた.5年5カ月間にわたる全経過はFig. 4の通りである.すなわち,十二指腸潰瘍サイクルと胃潰瘍サイクルとは時相を異にしながら共存している.特に胃潰瘍は約1年半の間隔でサイクルを回っているが,患者の生活背景からはこの理由を説明できる事象を捉えることはできなかった,また経過が長くなるにつれて,胃潰瘍,十二指腸潰瘍とも多発→線状・線型化などの難治性因子を伴う方向に進んでいる.
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