今月の主題 胃のびらん
綜説
びらん診断の内視鏡的限界
吉田 隆亮
1
,
岡部 治弥
1
,
広門 一孝
1
,
八尾 恒良
1
,
古賀 安彦
1
,
堀之内 幸士
1
,
増田 信生
1
,
藤原 侃
1
,
三井 久三
1
,
崎村 正弘
1
,
上月 武志
1
,
谷 啓輔
1
,
為近 義夫
1
,
本多 武彦
1
1九州大学医学部勝木内科
pp.767-776
発行日 1967年6月25日
Published Date 1967/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110563
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Ⅰ.はじめに
X線,内視鏡診断の目覚ましい進歩によって診断の焦点は必然的に胃内の微小な病変へ向けられて来ており,内視鏡に限っても優秀な機械の出現が盲点を殆んど克服したと云える段階になった今,微細病変をより確実に,容易に診断する事が今後の内視鏡分野にとり残された一つの課題と云える.
かかる観点から眺める時,びらんは微細診断のための好材料であり,かつ早期癌診断の一つの指標となりうるものと考える.
さて,びらんが臨床面と結びつくのはいかなる場合であろうか.1.微細早期胃癌診断の一つの拠り所が潜在している可能性がある,2.内視鏡的に特異な像を呈し激しい臨床症状を示すびらん性胃炎,3.びらんと潰瘍の関係の分析などをあげることができる.しかし,本文では異なった観点から広くびらんを眺めてみたい.すなわち内視鏡を最大限に駆使した時点における内視鏡診断の限界――びらんの内視鏡像(質的診断),量的診断すなわち存在診断の限界,びらんの鑑別診断――は如何であるかについて検討してみたいと思う.ここでびらんを診断する手掛りが必要となって来る.
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