今月の主題 難治性胃潰瘍
綜説
内視鏡の立場からみた難治性胃潰瘍
川井 啓市
1
,
竹腰 隆男
1
,
井田 和徳
1
,
若林 敏之
1
,
近松 重義
1
,
角谷 仁
1
,
瀬尾 功
1
,
小林 義明
1
,
郡 大裕
1
,
森 靖夫
1
,
永田 富雄
1
1京都府立医科大学増田内科
pp.1019-1028
発行日 1967年8月25日
Published Date 1967/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110546
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
内視鏡の立場からみた難治性胃潰瘍といえば当然,その内視鏡的特徴が問題になるが,このことは予後の推定または胃切除適応を含め,内科医にとどまらず,一般臨床の場にあってははなはだ重要な消化器疾患の主題である.したがって表現に多少の差はあっても幾度か医学雑誌のテーマとしてとりあげられたり,第17回医学会総会シンポジウムの主題としてとりあげられた故でもあろう.
しかし本題に入る前に,まず明らかにしておきたいことは対象となる難治性潰瘍の定義である.治癒日数の問題,再発・再燃のとり扱いまた潰瘍症についての考え方など幾つかの間題があるが,この場合私達の行なっている胃潰瘍の長期経過観察の立場から難治性潰瘍の枠付けを試みたい.
しかし断っておきたいことは私達のとり扱った対象は消化性潰瘍の動態を明らかにすることが目的の一つであったので,すべて内視鏡主として胃カメラ乃至ファイバースコープで観察できた胃潰瘍である.しかも毎常同一の条件下で経過を観察できる対象に限定され,観察しにくい噴門部および胃体上部潰瘍または幽門輪潰瘍といったものは除外されてしまう.
胃潰瘍は勿論消化性潰瘍の一部分症と考えるべきで,十二指腸潰瘍を除外してこれのみの動態を云々することはその取り扱いに不注意の譏はまぬがれないが,十二指腸潰瘍はX線的に現状ではいまだ治癒判定が難かしいので今回の検討からは除外した.
Copyright © 1967, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.