今月の主題 難治性胃潰瘍
綜説
難治性潰瘍のX線診断
白壁 彦夫
1
,
西沢 護
1
,
日暮 協
1
,
早川 尚男
1
,
大久保 春男
1
,
吉川 保雄
1
,
野本 一夫
1
,
伊藤 俊夫
1
,
狩谷 淳
1
,
上野 正己
1
,
塚田 隆憲
1
,
林 学
1
,
丸山 雅一
1
1千葉大学医学部第一内科
pp.1005-1018
発行日 1967年8月25日
Published Date 1967/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110544
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難治ということは,治療して経過をみても治癒しないということであるが,さて,文献を調べると,これほど多くの人々により論じられているものも少ないであろう.専門家が同じ検査法で同じように経過をみていながら,その成績を細かく分析すると諸点で差違がある.この泥沼にわれわれも足をふみ入れた.はっきり言って,われわれは厳密な立場に立って討論することはできない.ただ,経験をのべたり,自分はこう思うという考え方を主張できるにすぎないような気がする.内科の側から潰瘍の経過をみた人たちの成績が,細かい点で差があるといったが,或る点では主張が等しいところもある.何故か.みんなの心の中では自分の今までの経験から,難治とはこんな潰瘍だよと思っていても,その考えを科学的に実証する軌道にのせることができないという臨床的な悩みがある.それは,めいめいが同一の対象例を取扱うことができないという材料の不均一さにある,潰瘍についても発生してからの時期を任意に選び出すこともできない.従って,内科の側は,任意に適当な潰瘍を適当に経過をみて,その成績なり印象をのべているにすぎない,あとにその評価をのべるが,この方法がいまなおとられている現状である.
外科の側の取扱い方は,手術後,切除標本を検索して潰瘍を調べ,その詳細な所見から潰瘍の実態はこうである,こうである筈だ,こうとしか考えられないという強い主張をのべているのである.
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