今月の主題 胃液分泌の基礎と臨床
症例
微小Ⅱc型早期癌と誤診した潰瘍瘢痕
石田 敦夫
1
,
杉浦 純宦
2
,
小林 真佐夫
2
,
清水 英範
2
,
小林 千枝子
1島根県立中央病院第一放射線科
2島根県立中央病院外科
pp.397-399
発行日 1967年3月25日
Published Date 1967/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110485
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Ⅰ.はじめに
早期胃癌の診断において隆起型(Ⅰ型)および陥凹型(Ⅲ型)は,しばしば肉眼的所見(特徴)と組織学的所見の不一致に遭遇し,その診断の困難性を痛感しているが,表面隆起型(Ⅱa),表面陥凹型(Ⅱc)は前二者にくらべて比較的容易に肉眼単位の診断が組織診断と一致をみている.
しかしながら表面陥凹型(以下Ⅱcとする)の診断が主としてびらんの診断であるので,良性びらん,潰瘍の治癒経過中とくに瘢痕などがきわめてⅡcと鑑別困難なことがある.
最近のように,なるべく早期に,なるべく小さい病変を探し出そうとする現状においては,又誤りをおかす危険も大きく,十分注意を要する問題であり,私達は,著者自身の反省の意味において本症例を報告する.
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