今月の主題 小腸
症例
Malabsorption Syndromeを示した腸結核の1例
唐沢 吉三郎
1
,
小越 和栄
1
,
木村 明
1
,
田代 成元
1
,
笹川 力
1
1新潟大学医学部木下内科
pp.1553-1557
発行日 1967年12月25日
Published Date 1967/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110440
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近年,診断法の著しい進歩とともに,消化器病の分野,中でもわが国では,従来,盲点とされた膵臓,腸疾患が注目をあび,現在その病態生理,治療法が次第に明らかになりつつある.しかし,生理,解剖学上の特殊性,および臨床症状の多様性などのため,時に術前診断が困難な症例に遭遇し,あらたな疑問に直面することがある.
最近,私共は著明な低蛋白血,全身性浮腫,貧血など,いわゆるMalabsorption Syndrome(以下MASと略す),すなわち吸収不良症候群を示した症例が開腹手術により腸結核であることを確認し,諸症状の改善をみた1例を経験した.成書1)には本症で小腸の侵された部位と範囲によってはMASが発生することは記載されているが,詳細な症例報告は見当らず,ここに1つの診断の過程を中心に検討を加えたので報告する.
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