胃と腸ノート
食道アカラシアに対するブジー療法
伊藤 克昭
1
1愛知県がんセンター第1内科
pp.948
発行日 1985年9月25日
Published Date 1985/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403109779
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食道アカラシアに対する非外科的治療法には,ブジーを用いた受動的拡張療法とpneumatic dilatorによる強制噴門拡張療法とがある.前者は,1900年代前半までは治療の主流であったが,治療効果が一過性で不十分とのことで,pneumatic dilatorの普及に伴い顧みられなくなった.しかし,60 French(φ20mm)の太径ブジーを使用すれば治療効果の持続が長く,pneumatic dilatorに比し手技が簡単で安全であるので外来で施行できることからブジー療法が再評価されている(Gastrointest Endosc 28: 169-172, 1982).私どもも太径ゴム製ブジーによる食道アカラシア治療を試み良好な成績を得ているので紹介する.
治療法は,Fig.1に示した市販のMaloney mercury-filled tapered esophageal bougie (Pilling Co.)60 Frenchを使用し,Mandelstamらの方法(前出文献)に準じ噴門部を6回往復させた後に1分間留置した.自験例は10例で,経過観察期間平均18か月の時点の治療成績は,自覚症状のない著効例が4例,軽度のつかえ感を時々自覚するが日常生活に支障のない有効例が5例,無効例は1例であった.
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