Coffee Break
潰蕩の再発をめぐって(その6)―維持療法の期間について
五ノ井 哲朗
1
1福島県立本宮病院
pp.1356
発行日 1985年12月25日
Published Date 1985/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403109679
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潰瘍の治癒後,再発防止のために維持療法を加えることは臨床的常識であるが,その方法についての意見はまちまちである.維持療法に用いる薬剤,あるいはその組み合わせの問題もさることながら,ここでは,その期間をどうするかという問題を取り上げてみよう.それについて,あるいは3か月といい,また6か月とし,1年といい,更にはなるべく長くとするなど,収拾は困難である.更に問題なことは,3か月といい,1年とする根拠がいっこうにわからないことである.
この問題を,前回に述べた五十嵐らの報告によって検討してみる.その報告における観察対象を維持療法という点からみると,制酸剤や抗コリン剤を主とした薬剤を,若干の中断を交えて,15~22年の全観察期間中服用しつづけた患者は6名,その他は服薬,休薬常ならずというところで,全体としてみれば1/3程度の服薬群とみなされよう.五十嵐らは,この対象の1例1例について再発の起こった時点を明らかにしている.延べ110回の再発が観察されているが,それぞれの再発について,前回の潰瘍の治癒からの経過期間,すなわち再発間隔を調べてみると表のようである.再発の77%は,前回の潰瘍の治癒後2年以内に発生していて,それ以降の再発は著明に減少する.この数字からみれば,維持療法の期間を2年とするのが適当ではあるまいか.
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