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書評「食道腫瘍の臨床病理」
掛川 暉夫
1
1久留米大学
pp.924
発行日 1984年8月25日
Published Date 1984/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403109579
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本書は1,000例という多数の症例をもとに,常に第一線で活躍し続けてきた学者らが,長年研鑚してきた努力の結晶を集大成したものである.すなわち本邦における内視鏡のパイオニアである遠藤光夫教授と,食道腫瘍の臨床病理学的研究をlife workとして多岐にわたる詳細な業績をあげ,われら食道仲間に常に刺激を与え続けてくれている井手博子助教授が中心となり,豊富な切除標本をもとに悪性疾患ばかりでなく,良性疾患も含めあらゆる食道疾患を網羅し,これらの臨床病理像を余すところなく紹介した書である.
食道疾患の治療に従事するものにとって,直ちに明日への臨床に役立つ臨床病理学の本の出現はかなり以前より熱望されていたところである.しかし,かかる本は実際に手術して手術所見を熟知し,更に切除標本および組織学的所見を自ら検索しうる立場の人でなければできるものでなく,またいくら努力しても材料に恵まれている施設でなければ企画できるものではない.かかる意味で適切な人材を抱え,恵まれた施設である東京女子医大消化器病センターにおいてのみ成しえたことで,当然出るべくして出た本であると思われる.
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