今月の主題 大腸sm癌
主題症例をみて
大腸早期癌の形態認識
丸山 雅一
1
1癌研究会付属病院内科
pp.858
発行日 1983年8月25日
Published Date 1983/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403109442
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大腸早期癌の診断に取り組んで間もない頃,手本になる文献と言えば,Spratt&AckermannのSmall primary adenocarcinoma of the colon and rectum(JAMA 179: 337,1962)ぐらいだった.この文献が病変の形態を単に記載するだけでなくシェーマで表しているところが気に入って,繰り返し読んではじっとながめて時間を過したことを思い出す.また,有茎性の病変で肝転移を認めたというManheimerの症例報告が気になって,図書館でN Engl J Med(272: 144,1965)を必死になってさがしたのもこの頃である.今,ここに見事に編集された大腸sm癌の特集を目にするとき,この道の先達の偉大さを思いつつも,これが既に先達の業績の模倣ではない新しい世界を築いていることを実感する.これは立派なアトラスとして通用する.
“他人の材料で仕事をしている”という編集者に対する謗りはこの種の企画には常につきまとうものだが,一方,欧米の先達の業績を越えたと判断できるだけの材料の集積は,これだけの施設が1つの目的のために個々の利害を無にして協力してはじめて可能になったものであることを忘れてはなるまい.1研究者,1施設という単位での自己主張が研究発表の基本であることは当然のことだが,対外国という場合には今やこのような方法を是としなければならない時代が来ているのだと思う.
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