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消化管重複症は,舌根部から肛門までの消化管のいずれの部位にでも起こりうる先天奇形であり正常の消化管粘膜や平滑筋を持った,通常,囊状あるいは管状の構造を示すものである1).本来の消化管との交通はないことが多いが,交通性を有するものもある.今回われわれは,食道下部が正常食道粘膜を持つ縦走する中隔によって,2つの内腔に分かれているという興味ある症例を経験した.発生学的な考察から,不完全食道重複症と診断したので報告する.
症 例
患 者:68歳,男性.
既往歴:幼少時より,食物をのどに詰まらせたり,食道炎を起こした既往歴はなく,また外傷の既往もない.
現病歴:呼吸器症状・胸部圧迫感もない.年1回近医で上部消化管造影検査を受けていたが,今まで一度も異常を指摘されたことはなかった.今回,胃集団検診にて,胃角変形を指摘され,精密検査目的で佐世保総合病院放射線科を受診した.
The esophagus is the second commonest site of duplication in the alimentary tract. The duplicated segment rarely communicates with the main lumen of the esophagus.
We encountered a patient with longitudinal septum in the lower portion of the esophagus, which divided the latter into two lumina of equal size. Embryologically, we concluded this was a form of incomplete duplication of the esophagus.
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