特集 図説 形態用語の使い方・使われ方
第Ⅱ部 検査手技・所見等の用語
b.X線・内視鏡所見用語
胃隆起性病変における山田分類(Yamada's classification for gastric polypoid lesion)
中嶋 秀麿
1
,
牛尾 恭輔
1
1国立がんセンター中央病院放射線診断部
pp.332
発行日 1996年2月26日
Published Date 1996/2/26
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104004
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胃の内腔に隆起した病変を,その起始部の形態から分けた分類である.1965年,山田,福富らは胃隆起性早期癌のX線診断において,ポリープとは何か,を厳密に定義することは極めて困難であることから,新しい試みとして胃の腫瘍や,炎症性病変を含めて,上皮性,非上皮性,または良性,悪性の区別なく胃内腔に突出する病変を,胃隆起性病変(polypoid lesion)として一括し,隆起の起始部の形からFig. 1のような4つの型に分類した.Ⅰ型はFig. 2で示すように,隆起の起始部はなだらかで,明確な境界を形成しない.Ⅱ型は起始部は明確な境界線を形成するが,くびれを認めない隆起である(Fig. 3).Ⅲ型は起始部に明らかなくびれを形成しているが,茎が認められないものである(Fig. 4).Ⅱ型との差として,バリウムを起始部に移動させた場合に,隆起の頭部の線を越えて,バリウムがくびれの部分に流れ込む所見がみられる(Fig. 4b),Fig. 4cは,それをシェーマとして示したものである.Ⅳ型は,明らかな茎があるもので,体位の変換や圧迫で隆起の頭部の方向が各方向に変わる(Fig. 5).
この分類を使用すると,組織学的診断が判明する前におよその隆起の様子を表現して討論することができる.更に大きさの要素を組み合わせることにより,胃隆起性病変の良悪性の診断の1つの手がかりになる.すなわち,5~9mmではⅡ型に早期癌がみられ,10~19mmでは,Ⅱ型とⅢ型に早期癌が含まれる.20mmを超すと,Ⅳ型に早期癌がみられ,Ⅱ型,Ⅲ型に進行癌が認められるようになると報告している.
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