胃と腸ノート
Shinya式大腸ファイバースコープ(2)―横行結腸より上行結腸への挿入法
岡本平次
1
,
Hiromi Shinya
2
1昭和大学医学部藤が丘病院病理科
2Chief of Surgical Endoscopy Unit, Beth Israel Medical Center. NewYork. Chnlcal Professor of Surgery, Mount Sinai School of Medicine, New York
pp.1267
発行日 1982年11月25日
Published Date 1982/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403108732
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横行結腸への挿入にあたっては,まず前号で述べたright turn shortening法で形成された体外のαループを解除しなければならない.そのためには,ファインダーの視野が変わらない程度に小刻みにスコープを出し入れし,同時に左回転をさせると体外のループを解除させることができる.また下行結腸からのスコープの逸脱も防止することができる.このようにしてスコープの直線化が得られると,脾彎曲部までの距離は肛門輪から40cm前後である.次に脾彎曲部を越えて横行結腸に進める,アップアングルをかけると横行結腸は筒状にとらえられる.その部でスコープを押し込まずに,反対に術者側へ引き戻して,余分のループを取り完全に直線化すべきである.この際肛門輪から5~10cmおりてくれば,伸展良好な柔らかい腸であり,下行結腸と横行結腸とのなす角度が鈍角となるため以後の操作は容易となる(Fig.3a).これに反し,例えばS状結腸憩室症の患者では,スコープの戻る長さが少ない.これは腸管の長軸方向への伸展不良があり,S状結腸でゆるいサインカーブを描いていることが多いからであろう(Fig.3b).このような患者では,横行結腸を進ませる際,再度ループを描きやすく,後述する助手による体外からのS状結腸の保持が必要となる.
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