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海外文献紹介「逆流性胃炎症候群:症状の発現機転」
小林 世美
1
1愛知県がんセンター第1内科
pp.26
発行日 1982年1月25日
Published Date 1982/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403108657
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Reflux Gastritis Syndrome: Mechanism of Symptoms: H. Meshkinpour, J.W. Marks, L.J. Schoenfield, G.G. Bonnoris, S. Carter (Gastroenterology 79: 1283~1287, 1980)
逆流性胃炎は,胆汁の嘔吐と食後の胃部痛が特徴であり,胃手術後患者の5~35%にみられる.この症候群は,上部腸管内容の胃への過剰な逆流によるか,あるいは腸内容に対する胃粘膜の強い感受性のためか,あるいはこの2つの機転のコンビネーションによって起こるのではなかろうか.
上部腸管内容は,胆汁,膵液,腸液の混合液である.このうちのどれが症状発生に関連があるかについて詳しい検討がなされていない.そこで著者らは,既に胃手術を受けた逆流性胃炎11例,無症状者10例,計21例を対象として,自家腸管内容および生理的食塩水を胃内へ注入する実験を試みた.注入後,悪心,嘔吐,上腹部痛,口内苦味感などの症状のうち2つ以上を,5分以上持続して認め,生食水では再現されない場合を陽性反応とした.有症状者11例中10例,無症状者10例中2例に陽性反応を認めた.後者の2例は,自家腸内容と生食水の両者に陽性を示したが,有症状患者では,生食水に対して陽性を示した者はなかった.次に胆汁の人工溶液を胃内へ注入する実験を行ったところ,陽性反応は,有症状者の1例にみられたにすぎなかった.以上から,次の結論が得られた.①逆流性胃炎の症状は,上部腸管内容の胃内注入で再現される.②胆汁酸だけでは症状は起きない.
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