今月の症例
日本住血吸虫症(大腸)の1例
田辺 誠
1
,
小俣 好作
2
Makoto Tanabe
1
1社会保険山梨病院内科
2社会保険山梨病院病理
pp.1058-1060
発行日 1988年10月25日
Published Date 1988/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403108620
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〔患 者〕80歳,男性.心不全にて通院中に血便.シグモイドスコピーでS状結腸に易出血性のポリープがありポリペクトミー(病理診断は過形成性ポリープ)を施行.同時に粘膜に異常所見がみられ精査した.過去に大量下血や長期にわたる下痢,結核症の既往はない.
〔注腸X線所見〕盲腸の変形・伸展不良は腸結核の治癒像に類似している(Fig. 1)(本症例の虫垂は十分に造影されていないが原因不明)。上行結腸,横行結腸のハウストラは正常で腸管の伸展も良好であり,ほぼ正常の所見である.横行結腸にはfine network patternもみられた.下行結腸は下部より次第に伸展不良となっている(Fig. 2).S状結腸は長く,下行結腸と重なり複雑であるが,非対称性の伸展不良がみられる.また,バリウムの付着が悪く辺縁が比較的強調されてみえる(Fig. 2,3,4).直腸もS状結腸と同様の所見であり,緩解期の潰瘍性大腸炎に類似の所見を呈している(Fig. 3,4,5).
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