短報
唾液腺とガストリン
竹内 正
1
,
竹本 忠良
1
,
谷 礼夫
2
,
三輪 剛
2
1東京女子医科大学・消化器内科
2国立がんセンター病院内科
pp.886
発行日 1973年7月25日
Published Date 1973/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403108567
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消化管ホルモンが消化器病学の中で大きな関心をもたれている.これは胃・十二指腸および小腸上部の腺細胞で産生され,刺激により血液中に分泌され,標的器官に作用して消化液の分泌や運動機能を調節する.
消化液を外分泌する消化管が内分泌作用をもつていることはすでに周知の事実であるが,わが国では1928年緒方知三郎博士らによって唾液腺の内外分泌に関する研究が病理学的な立場から始められた.その後,牛の唾液腺抽出液からの分画精製によって実験動物の歯と骨の発育促進作用と,血清カルシウム量の低下作用を測定することによって,有効成分の分画をとり出している.これをparotinと命名した.17種のアミノ酸からなる分子量132,000のグロブリン性蛋白質であるといわれているが,単一の化学物質ではないらしい.このような唾液腺内分泌説に対して疑義がないわけではない.抽出されたホルモンについて,標的器官が不明確であること,化学的に単一のものとして示されていないことなどから,ホルモンと呼びうるものかどうかも問題となろう.従って,消化管ホルモンとしての位置づけができない状態である.
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